雲の上の牧場

標高1455mにもなる雄大な四国カルストに抱かれた自然豊かなまち、梼原町。その地理的条件から「雲の上の町」と称され、美しい景観ももつこの町に見惚れた建築家・隈研吾氏が設計した建造物にいくつも触れることができる場所でもあります。「雲の上の牧場」で知られる津野山畜産公社では、黒毛和種「ゆすはら牛」と褐毛和種「土佐あかうし」を繁殖から肥育まで一貫して生産しています。四国カルストでの放牧や独自の飼育哲学のもと、牛たちはのびのびと健康に育てられ、風味豊かで柔らかな肉質が特徴です。2024年の高知県肉用牛部会肉牛枝肉共励会では、最優秀賞も受賞。その品質の良さは県内外の卸業者や料理人から高い評価を得ています。

梼原町の四国カルストでのびのびと育てられる「ゆすはら牛」
梼原町の四国カルストでのびのびと育てられる「ゆすはら牛」

 

生産者の挑戦

インタビューに応じてくれた津野山畜産公社の事務局長である秋澤克哉さんは、かつて高知県畜産試験場で10年間ほど研究員として働いておりましたが、新たな挑戦がしたいという気持ちが高まり、自分であればこれまでの経験を生かして『生産現場の改善と底上げ』ができるはずと考え、津野山畜産公社へキャリアチェンジ。現在は、自身も出身である東京農業大学を卒業した若手スタッフたちと共に、日々奮闘しています。秋澤さんは「自分たちの牛が地元の方々はもちろん、全国の皆さんに美味しいと感じてもらえるようにしたい」と語り、地域に根ざした生産者としての誇りを持って、地元のイベントや県内でのお祭りなどにも参加し、自ら牛肉の魅力をお客様に直接伝え、その反応や声を聞くことを大切にしています。

津野山畜産公社 秋澤 克哉さん
津野山畜産公社 秋澤 克哉さん
あかうしは黒毛と同じ牛舎に入っており、体格も大きいのも津野山畜産公社のあかうしの特徴のひとつ
あかうしは黒毛と同じ牛舎に入っており、体格も大きいのも津野山畜産公社のあかうしの特徴のひとつ

 

 

牛を尊重した飼育法

秋澤さんたちは、牛が自然な形で育つことが最も美味しい肉を生むと考え、エサの与え方にも細心の注意を払っています。一般的には、牛舎のエサ箱が空にならないように常にエサを与える方法が取られますが、津野山畜産公社では牛に無理をさせず、エサの間隔を適度に空けることで、健康を維持しつつ豊かな味わいの肉質を育むことを重視しています。この飼育方法により、牛がストレスを感じることなく過ごせる環境を整えることができ、結果として美味しい牛肉に繋がるのです。また、牛たちは四万十川源流の清らかな湧き水を飲んでおり、良質な水環境が肉質に与える影響も大きいと考えられます。

エサの種類や量は成長過程に合わせて調合される
エサの種類や量は成長過程に合わせて調合される

 

最新技術と丁寧なケア

津野山畜産公社では、毎日お昼にスタッフ同士でミーティングを行い、牛舎ごとの状況を細かく報告し合うことで、一頭一頭に合わせたケアを徹底しています。さらに、LINEを活用してリアルタイムで情報共有を行うなど、迅速で的確な対応を行えるよう工夫されています。牛たちの健康状態や行動はセンサーで管理され、異常があった際にはスマホに通知が来る仕組みが整っており、24時間体制で見守られています。こうした最新技術の導入と、地道な努力の積み重ねが、美味しい牛肉の生産に結びついているのです。

 

生産力と価値向上を目指して

「見た目だけでなく、また食べたいと思ってもらえる牛肉を作りたい」という秋澤さんの情熱が込められた和牛を、ぜひご堪能ください。津野山畜産公社が生み出す「ゆすはら牛」と「土佐あかうし」は、当館の特別会席でもご提供しています。