色とりどりの珍しい野菜たち

高知県いの町の水田農園を営む水田博章さん、香織さんご夫婦は、40〜50種類にもおよぶ野菜を育てながら、「見た目も楽しい、可愛い野菜」を目指して日々挑戦しています。
しょうが・さつまいも・ごぼう・じゃがいもなどを季節に合わせて輪作するなど、年間を通じて安定した栽培を行い、まるで研究所のように次々と新しい品種を生み出しているのが特長です。

きっかけは、県の商談会で空心菜の栽培を依頼されたこと。
「だったらこんなのも作ってみませんか?」という声をきっかけに、次々と珍しい作物にも挑戦されてきました。

長年の農業経験から得た確かな技術を活かし、今では“バナナピーマン”や白いきゅうり“ホワイトきゅうり”など、あまり市場に出回らない野菜を次々と生み出しています。
「バナナピーマンは数十年ほど前に一度作ったことがあるんです。でも当時は売り先が少なく、諦めてしまいました。ところが最近、東京の市場から“もう一度作ってみては?”とお声がけいただいたんです」
と、香織さんは笑顔で語ります。黄緑からだんだんと色が変化し、甘みも増していく不思議なピーマンは、定番野菜にはない個性的な風味が人気の秘密です。

可愛いお野菜研究所の由来

「どうせ作るなら、可愛くて黄色い色合いの野菜を育てたい」という想いから、香織さんが“可愛いお野菜研究所”と名づけたそう。
「食卓に並べるとパッと華やかになりますし、“この野菜、可愛いね”と言ってもらえるととても嬉しいんです。やっぱり作りがいがありますよね」
そんな香織さんのチャレンジを、博章さんはいつもあたたかく見守り、「好きに作ってみたら?」と背中を押しているのだとか。

「楽しさ」を、皆さまの食卓へ

定番作物はもちろん、スイカの一本仕立てや早採りキュウリなど、多彩な栽培経験をお持ちのお二人。「新しいことに挑戦するのは正直、手間もかかります。でも“これがあるから頑張れる”と思えるんです。珍しい野菜を探している飲食店さんや、ちょっと変わった食材を使いたい方に喜んでもらえたら、私たちも嬉しいですね」
と、その表情はとても楽しそうです。

 

種まきから出荷まで。想いを込めて

水田ご夫婦は、種の選定から育苗、ハウスでの管理、そして収穫・出荷に至るまでを丁寧にこなし、“可愛い”だけでなく“食べておいしい”野菜を届けることを大切にされています。
「少量しか作れないものも多いですが、必要としてくださる方に向けて、誠実にお届けしたいんです」と語る香織さん。そういった姿勢が、多品目栽培でも質を落とさない秘訣です。「可愛いお野菜研究所」から生まれる珍しい野菜は、これからも増え続けていきそう。
「食卓がぱっと華やぐ野菜をつくり、笑顔になってもらえたら本望です。もし珍しい野菜が欲しいと思ったら、ぜひ声をかけていただけたら嬉しいですね」
と香織さんは言います。高知の豊かな土壌と、お二人の“何事にもチャレンジを惜しまない”精神が掛け合わさって生まれる、とっておきの野菜たち。一口かじると、見た目以上の魅力が広がっていく、「可愛いお野菜研究所」の今後にもご期待ください。