清冽な手箱山
標高600~700メートルの豊かな自然に囲まれた高知県いの町・本川地区。本川地区は、藩政時代に手箱山の氷室に貯蔵された氷を土佐藩主に献上していたという歴史があります。そこにそびえる手箱山は、西日本の最高峰である石鎚山系に連なり、古くから土佐藩により御留山(おとめやま)として狩猟や伐採が厳しく禁じられてきたため、今でも原生林が多く残り、清冽な風土と深い歴史が感じられます。
この地にちなんで名付けられた「土佐・本川 献上手箱きじ」は、平成21年にスタートした地場産業プロジェクトから生まれました。きじの飼育自体は昭和55年頃から行われていましたが、平成21年に「本川きじ生産組合」として正式に発足し、平成27年には法人化して現在の「本川手箱きじ生産企業組合」となりました。
飼料と環境へのこだわり
広々としたきじ舎で放し飼いにし、太陽の光をたっぷり浴びながら、ストレスなくのびのびと育つ環境を整えています。また、飼料にもこだわり、地元農家の無農薬・減農薬の野菜を使用。イタドリやくぬぎの葉、きゅうり、カボチャ、なす、果物(梨、ブドウ、西瓜)など、自然の恵みをたっぷりと与えています。飼育から加工・販売までの全てを一貫して行うことで、安全・安心、そして高品質なきじ肉をお客様にお届けしています。きじの孵化は5月中旬から始まり、成鳥となるのは11月頃。市場に出回るのは11月から3月にかけてです。「冬の寒さに弱いデリケートなヒナ鳥が快適に過ごせるよう、温度管理にも細心の注意を払っています。」と飼育管理の責任者である川村英一さん。
口にしたこと無い人にこそ
手箱きじの肉はくせがなく、旨味が豊かなことが特徴です。本川手箱きじ生産企業組合の代表理事を務める山本周児さんは「きじがこんなに美味しいものだということをもっと多くの方に知ってほしい」と語ります。おすすめの食べ方は、お鍋料理。さらに塩焼きにするとそのままの旨味を楽しむことができ、少し贅沢な味わいが堪能できるそう。全国でもきじを育てている生産者は十数件ほどしかなく、その中でも「土佐・本川 献上手箱きじ」は、清らかな自然と歴史に支えられた特別な存在です。まだきじを口にしたことがない方にぜひ味わっていただきたい食材です。