
龍馬とごめんケンカシャモ
高知県の中東部に位置し、高知市に隣接する南国市。北は山々、南は海に囲まれた自然豊かなこのまちは、歴史と文化、そして食の魅力にあふれています。その中でも特に注目したいのが、「ごめんケンカシャモ」と呼ばれる希少な地鶏です。このシャモには、坂本龍馬にまつわる物語が残されています。南国市才谷は、龍馬の先祖代々の墓がある地。かつて龍馬が非業の死を遂げたその晩、彼のために用意していたものの、結局口にすることができなかったとされる「シャモ鍋」が供養として作られていたという逸話が残っています。まさに、歴史と食文化が交差する土地なのです。
こどもたちが誇れる南国市へ
この逸話に着想を得て、地元の有志たちが立ち上がりました。「こどもたちが南国市を誇れるように、この土地を盛り上げたい」と語るのは、『ごめんシャモ研究会』の理事長・立花智幸さんです。2008年に市内の仲間6人とともに町おこし活動をスタートし、翌2009年からは龍馬が生きた時代の味を再現するべく、100%純血種のシャモの飼育を始めました。古来の血統を守りながら、じっくりと時間をかけて育てられるその鶏は、かつての「ケンカシャモ」の名にふさわしい力強さを持っています。そして2010年、『ごめんシャモ研究会』として埼玉県で開催された全国規模の料理イベント「彩の国 全国鍋合戦」に初出場を果たし、見事初優勝を獲得。南国市発の味が一躍注目を集めることとなりました。


歴史とロマン
「ごめんケンカシャモ」の味わいは、濃厚な旨味としっかりとした肉質が特徴です。鍋にしても、焼いても、煮込んでも、力強い味が引き立ち、噛むほどに鶏本来の旨さが広がります。とくに、シャモ特有の赤身肉には野性味と深い味わいが凝縮されており、一般的なブロイラーでは味わえない奥行きを感じさせてくれます。「この鶏には、歴史とロマンがあります。食べながら、そんな背景にも思いを馳せてほしいんです」と、立花さんははにかみながら語ってくれました。城西館では、この「ごめんケンカシャモ」を特別な会席料理や鍋料理としてご提供しております。龍馬が生きた時代に想いを馳せながら、土佐の食文化の深みを、ぜひ味わってみてください。